イケメン彼氏

 

「もったいないなぁ。
そんな可愛いのに恋愛の一つもしたことないなんて、もったいないよ。
あんたはなんの為にそんな可愛い下着履いてんのさ」

 

 

亜紀さんはそう言うと、手を伸ばしていきなり私のスカートを思いっきりめくった。

 

 

「キャーッ!!
ちょっと、亜紀さん!なにしてるんですかっ!?」

 

 

こんな人がいっぱいいるお店の中で、突然スカートをめくるなんてっ!

 

 

「こんなかわいい白のレース付いたパンツはいて!
誰かに見せないともったいないでしょ」

 

 

「キャー!!!やめてーッ!!!」

 

 

酔ってる!
亜紀さん完璧に酔ってる!!!

 

 

誰か、助けてー!!

 

 

「もう!亜紀さん起きてくださーい」

 

 

 

 

いいだけ酔っぱらって大騒ぎした亜紀さんは、今はテーブルにつっぷして、気持ちよさげな寝息をたてていた。

 

 

「こんな所で寝てないで、帰りましょうよー」

 

 

肩を乱暴に揺すって、なんとか亜紀さんは目を開けてくれた。

 

 

「あー、帰るかぁ。
じゃあ迎えに来てって電話しなきゃ……」

 

 

ガラガラ声でそう言うと、ポケットからケータイをだして耳に当てる。

 

 

「あ、もしもしダーリン?あたしー。
飲みすぎちゃったー。
いつもの店にいるから車で迎えにきてぇ……」

 

 

半分寝ぼけながらそう言うと、電話を切ってまたテーブルにつっぷして寝息をたてはじめる。
そんな亜紀さんの寝顔を見ながら、思わず苦笑いした。

 

あの男勝りの亜紀さんが『ダーリン』なんて言うなんて、本当にラブラブなんだろうなぁ。
どんな男の人と付き合ってるんだろう。

 

 

亜紀さんの彼氏が迎えに来るのを、少しドキドキしながら待っていると
隣のテーブルのOLさん二人組が、顔をよせて話しているのが聞こえてきた。

 

 

「あ、見て。
今入って来た人かっこよくない?」

 

「本当だ、一人で来たけど待ち合わせかなぁ」

 

 

その弾んだ声に、思わず興味本位で後ろを振り向くと、背の高い男の人がこちらに歩いてくるところだった。

 

 

男らしく精悍な顔立ち。
姿勢のいい綺麗な立ち姿。
長めの黒い前髪が、切れ長の瞳にかかっていた。

 

 

 

あれ、あの人ってもしかして……。